仙台高裁第1回口頭弁論
原発被害救済山形弁護団は,2019年12月17日に山形地方裁判所で言い渡された実質的な請求棄却判決を受けて,東京電力株式会社(商号の変更により,現在は「東京電力ホールディングス株式会社」となっておりますが,以下では単に「東京電力」と記載します。)及び国を被告とする損害賠償請求訴訟について控訴を提起しております。
控訴審の第1回口頭弁論期日が,10月30日(金)の午後2時30分から,仙台高等裁判所の101号法廷にて行われましたので,その内容を御報告致します。
口頭弁論期日にておいては,提出書面についての処理が行われた後,控訴人(一審原告)本人の意見陳述,及び,控訴人代理人による意見陳述が行われました。
控訴人本人の意見陳述においては,事故直後から避難,そしてこれまでの生活における辛さ,苦しみについて,率直な思いを述べていただきました。「原発事故被害者は避難しても地獄,とどまっても地獄」という言葉が,大変印象的でした。
控訴人代理人からは,及川善大団員が責任論(国の規制権限不行使)について,粕谷真生団員が損害論について,それぞれ控訴人が提出した書面の要旨を述べさせていただきました。
責任論の意見陳述についての大きなポイントは,①原判決における違法の判断において,事故発生の危険の切迫性を要件としたことは誤りであり,(仮にそれを要件としても)事故発生の危険の切迫性もあったと言えること,②長期評価に基づき保安院が対応を取ったと主張されているが,実際には東京電力のずさんな報告を黙認,放置したに過ぎないこと,③原判決の事実認定からすると結果回避可能性が認められ,国の規制権限不行使が違法となるのが自然であるが,原判決の認定はその論理及び証明責任の公正な配分の観点からも不当であること,の3点です。
損害論の意見陳述についての大きなポイントは,①原判決における被侵害利益(特に居住移転の自由)に関する認定が不当であること,②避難の合理性を実質的に否定した原判決は,放射線による健康被害に関する理解や,控訴人らの恐怖や不安に関する理解が不十分であること,③慰謝料額については中間指針に無批判に従い,加害者の避難可能性を考慮せず,本来充当すべきでない部分まで弁済の抗弁を認めてしまっており不当であること,という点でした。
口頭弁論後の進行協議においては,今後の訴訟進行について協議が行われた後,次回の口頭弁論期日が来年3月15日(月)の午後2時30分から行われることも決定致しました。
その後,場所を仙台弁護士会館4階大会議室に移し,報告集会が行われました。
最初に安部敏団長から挨拶をさせていただき,その後,外塚功事務局長から,本日の期日の概要及び今後の見通しについての説明を致しました。
そして,控訴人代理人の意見陳述を行った粕谷真生団員,及川善大団員から,それぞれ意見陳述の内容についてコメントをさせていただきました。
また,今回の口頭弁論期日には,連携をしている原子力損害賠償群馬弁護団から奈良浩樹弁護士にも参加していただいていたので,応援のコメントを頂戴致しました。
報告集会にご参加いただいた皆様からは,叱咤激励の他,今後の弁護団活動のあり方についても様々なご意見を頂戴致しました。本当にありがとうございます。
次回の口頭弁論期日は,来年3月15日(月)の午後2時30分から,仙台高等裁判所の101号法廷にて行われることになっております。
ぜひとも裁判所に足をお運びいただき,控訴人と当弁護団を支えていただければありがたいです。
当弁護団では,今後も,原発事故による被災者の救済に,全力を挙げて取り組んで参ります。
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